アスペルガー症候群をテーマにした映画
あらすじ
アスペルガー症候群のシモンは人とかかわるのが苦手。嫌なことがあるとドラム缶の中に隠れてひたすら夢想する。
こうなると親でも手が付けられない。唯一コミュニケーションをとれるのがシモンの兄サムである。
兄はいつもシモンを思い、シモンも兄が好きなのだろう。
しかし兄と兄の恋人とシモンの共同生活には無理があった・・・。
アスペルガー特有のシモンの行動に兄の恋人はついていけなくなったのである。
落ち込む兄のためにシモンは「完璧な恋人」を探そうとするのだが・・・。
映画予告編
シモンを取り巻く人々がみな優しいので、見ていて「世の中も捨てたもんじゃないなぁ」なんて考えてしまいます。
私がこの映画に出会ったきっかけ
私が発達障害の診断を受けたのは2015年のことでした。
最初の診断名は広汎性発達障害。別の言い方をすればアスペルガー症候群です。
アスペルガーと言えば、当時ネットなんかでは「アスペ」と書かれて集団の中でうまくいかない人のことをバカにしたような悪口として使われていました。
私も少し嫌な思いをしましたが、もっと自分について詳しく知りたいと思い情報を集めていました。
しかし文章だけではわかりにくいのでアスペルガーをテーマにした映画はないかと探していた時に、この映画のことを見つけたのです。
当時ちょうどビデオレンタルにこの映画が出ていたので、さっそく借りてみたのです。
両親と一緒に見ました
私が発達障害の診断を受けたとき、私の父はこんな反応をしました。
「お前のどこが障害なんだ?」
発達障害は知的に遅れはないし、今まで一般で仕事もしていたので、少し変わっているとは思ってもそれが障害のレベルであるとは考えられなかったようです。
現在40代の私の子供のころには発達障害という言葉さえ聞いたことがなかったくらいですから、父の感覚ではまったく理解ができなかったようです。
そこで私は父とシンプル・シモンを見ることにしたのです。
私の感想
まず、映画のなかにさりげなく?アスペルガーの特徴と言われていることが散りばめられているなぁと感じました。
例えば
- 人と隔離された狭い空間が好き
- マンホールや丸いものに興味がある(みんなそうか?)
- 好きな色のこと(これも実際はみんな一緒じゃないが)
- 計画通り規則正しく行動しようとすること
- 今声をかけないほうがいいなどの空気が読めないこと
- 思ったことをそのままストレートに発言すること
- 触られたくないなど感覚過敏があること
- これだと決めて集中すると限度をこえてやりすぎること
- 毎日同じ内容で時間通りの仕事が好きなこと
ほかにもあったと思いますがこんなところでしょうか。
当事者としては巻き起こるトラブルに若干心当たりがあり、見ていて気持ちがムズムズする部分もありました。
シモンがアスペルガーバッチをつけて歩いているのを見て、これはいいかもと本気で思いました。発達障害は見た目ではわからないんですよね。
でも逆に絡まれたりもするかもしれませんね(笑)
全体的にシモンを取り巻く人々がとてもやさしいと思います。現実はちがうなぁと。
ただその優しさが溢れる映画だからアスペルガーでもいいんじゃない?なんて思えるんでしょうね。
実際に特別障害者対策なんてしなくても、この映画のように人が人と真剣に誠実に寛容に向き合うだけで私たち発達障害者は生きやすくなるのかなぁ?なんて思いました。
父の反応
第一声、「お前はこんなんじゃない!」(それは映画だから極端に表現してるの!)と言って怒ってしまいました。
アスペルガーを理解してもらおうと思ったのですが、逆効果だったようです(笑)
母の反応
一つ一つのエピソードは私とは違うもののトラブルの性質は理解できて、生きにくさはわかってもらえたようです。
映画のラストシーンはアスペルガー症候群でもそれを乗り越えるかもしれないと希望が持てる感じだった。それに救われたと言っていました。
ネタバレになるので書きませんけど(笑)
まとめ
この映画は当事者家族が見るのと、発達障害に全く縁のない人が見るのとでは全然印象が違うと思います。
ポップでカラフルな映像ですから障害の苦悩よりもそちらに目が行ってしまうかもしれませんね。
でもこの映像なので重くならずに最後まで見れるんでしょうね。
僕は面白かったですよ!周囲がこんな環境だったら救われる。いや私もこの映画のような素敵な人間関係を作っていきたいと思えました。
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